CAEモデル解析:線形解析と非線形解析の違いを徹底解説

この記事のポイント

CAEモデル解析における線形解析と非線形解析は、それぞれ異なる特徴と適用場面を持つ重要な解析手法です。

解析対象や目的に応じて適切な解析手法を選択することが重要です。

目次

はじめに

CAE(Computer-Aided Engineering)で用いられる解析手法には、大きく分けて「線形解析」と「非線形解析」の2種類が存在します。
一見似たような名称ですが、実際の解析内容と適用場面は大きく異なります。
本記事では、初心者でも理解しやすいように、線形解析と非線形解析それぞれの仕組みと特徴、そして具体的な適用例をわかりやすく解説します。さらに、CAEモデル解析における線形解析と非線形解析の使い分け方についても詳しく紹介していきます。

線形解析とは?

線形解析は、解析対象となる構造や材料が弾性領域と呼ばれる範囲内に留まっていると仮定し、荷重と変位の関係が比例関係にあるとみなして解析を行う手法です。

弾性領域とは、材料に負荷を加えても、負荷を取り除くと元の形状に戻ってくる範囲を指します。
具体的には、フックの法則で表される範囲です。
線形解析では、解析対象を線形モデルとして簡略化し、計算を効率化することができます。

そのため、解析対象が比較的単純な形状であったり、荷重や変位が小さい場合などに適しています。

線形解析の特徴

  • 解析対象を線形モデルとして簡略化できるため、計算効率が高い
  • 解析対象が比較的単純な形状であったり、荷重や変位が小さい場合に適している
  • 材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮しない

線形解析の適用例

  • シンプルな形状の部品の強度解析
  • 静的荷重が作用する構造物の解析
  • 小さな変位量における解析

非線形解析とは?

非線形解析は、解析対象が弾性領域を超えた場合や、材料非線形性幾何学的非線形性を考慮する必要がある場合に用いられる解析手法です。
材料非線形性とは、材料の応力とひずみが比例関係にない性質を指します。
塑性変形や破壊などがこれに該当します。

幾何学的非線形性とは、解析対象の形状が荷重によって大きく変化する場合や、接触や摩擦などの複雑な現象を考慮する必要がある場合に発生する非線形性を指します。

非線形解析では、これらの非線形性を考慮することで、より現実的な解析結果を得ることができますが、計算量が多くなるという欠点もあります。

非線形解析の特徴

  • 材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮できるため、より現実的な解析結果を得られる
  • 解析対象が複雑な形状であったり、大きな荷重や変位が作用する場合に適している
  • 計算量が多くなる

非線形解析の適用例

  • 塑性変形や破壊を伴う解析
  • 大きな変位量における解析
  • 複雑な形状の部品の解析
  • 接触や摩擦を伴う解析
線形解析非線形解析
解析対象の
モデル化
線形モデルとして簡略化材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮する
計算効率高い低い
適用対象解析対象が比較的単純な形状であったり、荷重や変位が小さい場合解析対象が複雑な形状であったり、大きな荷重や変位が作用する場合
考慮する
非線形
材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮しない材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮
解析結果実際の挙動よりも簡略化された結果実際の挙動に近い結果
適用例シンプルな形状の部品の強度解析, 静的荷重が作用する構造物の解析, 小さな変位量における解析塑性変形や破壊を伴う解析, 大きな変位量における解析, 複雑な形状の部品の解析, 接触や摩擦を伴う解析

線形解析と非線形解析の使い分け

線形解析と非線形解析は、それぞれ異なる特徴を持っているため、解析対象や目的に応じて適切な解析手法を選択する必要があります

一般的には、解析対象が比較的単純で、荷重や変位が小さい場合は線形解析を用い、解析対象が複雑で、材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮する必要がある場合は非線形解析を用いるのが一般的です。

以下は、線形解析と非線形解析の使い分けのヒントです。

  • 解析対象の形状と複雑さ:単純な形状であれば線形解析、複雑な形状であれば非線形解析
  • 荷重と変位:荷重や変位が小さい場合は線形解析、大きい場合は非線形解析
  • 解析目的:強度解析であれば線形解析、塑性変形や破壊解析であれば非線形解析
線形解析非線形解析
解析対象の
形状と複雑さ
シンプルな形状複雑な形状
荷重と変位小さい大きい
解析目的強度解析塑性変形や破壊解析
その他材料非線形性や幾何学的非線形性を考慮する必要がある場合

まとめ

CAEモデル解析における線形解析と非線形解析は、それぞれ異なる特徴と適用場面を持つ重要な解析手法です。
本記事では、線形解析と非線形解析の仕組み、特徴、適用例、そして使い分け方について詳しく解説しました。
CAEモデル解析を行う際には、解析対象や目的に応じて適切な解析手法を選択することが重要です。

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