Mermaid(マーメイド)で業務フロー図を作る方法

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パワポでの図解はもう古い?テキストで描く魔法の業務フロー「Mermaid」入門

「この業務フロー、少しだけ変更したいんだけど、パワポの図形を一個ずつ動かして、線を繋ぎ直して…あぁ、もう大変!」

日々の業務では、複雑な業務プロセスを関係者と共有するために、フロー図やスケジュール表が欠かせません。しかし、その作成や更新作業に多くの時間を奪われていませんか?

そんな悩みを根本から解決する、魔法のようなツールが「Mermaid(マーメイド)」です。

今回は、なぜMermaidが様々なプロジェクトで絶大な効果を発揮するのか、その魅力と基本的な使い方を、初心者の方にも分かるように解説します。

なぜ、いつもの図解ツールは「しんどい」のか?

報告書や提案書を作るたびに、私たちはPowerPointやExcel、あるいは専用の作図ツールとにらめっこしてきたのではないでしょうか。しかし、そこにはいくつかの「しんどい」課題が潜んでいます。

  • 手間がかかりすぎる:図形を配置し、線を結び、色を塗り…単純な修正でも、クリックとドラッグの繰り返しで時間が溶けていきます。
  • 共有が面倒: 「この図を見るには専用ソフトが必要です」と言われ、ファイル形式の変換や画像の貼り付けを繰り返した経験はありませんか?
  • バージョン管理が地獄:「最新版はどれだっけ?」「誰がどこを直したの?」といった混乱が起きがちです。

特に、多くの部門や関係者が関わる現場では、この「ドキュメントの煩雑さ」が、情報共有のスピードを遅らせ、プロジェクトのボトルネックになることさえあります。

Mermaidとは?「テキストで図を描く」という新発想

この「しんどさ」を解消するのが、Mermaidです。

一言で言うと、Mermaidは「テキスト(文字)だけで、驚くほど簡単に図やグラフが作れるツール」です。

料理のレシピを想像してみてください。レシピ(テキスト)さえあれば、誰でも同じ料理(完成品)が作れますよね。Mermaidも同じで、決められたルールに従ってテキストを書くだけで、ブラウザなどが自動的にきれいな図を描画してくれるのです。

この「まずテキストで構造を記述する」という考え方をコードファーストと呼びます。マウスで図形をポチポチ配置するのではなく、プログラミングのように文字で命令することで、迅速かつ正確に図を作成できるのが最大の特徴です。

【コードで実感!】Mermaidで業務フローを描いてみよう

百聞は一見に如かず。実際にMermaidのコードを見てみましょう。 例えば、受注から出荷までの簡単な業務フローを考えてみます。

今回書きたいフロー
  1. 顧客から受注
  2. 在庫を確認
  3. 在庫があれば、出荷手配へ
  4. 在庫がなければ、取り寄せ手配へ

これをMermaidで書くと、以下のようになります。

graph TD;
    A[受注] --> B(在庫確認);
    B --> C{在庫あり?};
    C -->|はい| D[出荷手配];
    C -->|いいえ| E[取り寄せ手配];

生成される図

たった数行のテキストで、分岐を含むフローチャートが完成しました。 A --> B は「AからBへ矢印を引く」という意味で、角括弧 [ ] や丸括弧 ( ) で図形の形を指定するだけ。直感的で、すぐに覚えられそうですよね。

もし「在庫確認の後に『納期回答』を追加したい」と思ったら、テキストを一行追加するだけです。もう、図形をずらして、線を繋ぎ直す必要はありません。

様々な現場でMermaidが「最強」である3つの理由

Mermaidの魅力は、ただ図が描けるだけではありません。様々なプロジェクトの効率を劇的に改善する3つの大きなメリットがあります。

1. 圧倒的なスピードで「議論」と「改善」が進む

コンサルティングの現場では、クライアントとの対話の中で業務プロセスを可視化し、その場で修正を加えて議論を深めていきます。

従来のツールでは「一度持ち帰って修正します」となりがちだった場面でも、Mermaidならその場でテキストを書き換えるだけ。即座に修正された図を全員で確認できるため、認識のズレを防ぎ、アイデアを素早く形にできます。このスピード感は、変化の速いビジネス環境での課題解決において強力な武器となります。

2. プロジェクト管理の「見える化」もテキストでOK!

様々なプロジェクトでは、誰がいつまでに何をするのか、タスクの依存関係はどうなっているのか、といったスケジュール管理が不可欠です。Mermaidは、こうしたガントチャートも簡単に作成できます。

gantt
    title プロジェクト計画
    dateFormat  YYYY-MM-DD

    section 需要予測
    予測モデル分析 :a1, 2025-11-17, 5d
    予測精度レビュー :after a1, 2d

    section 在庫最適化
    発注点計算 :b1, 2025-11-20, 3d
    安全在庫見直し :after b1, 3d

生成される図

このように、タスク名と期間をテキストで記述するだけで、プロジェクト全体のスケジュールが可視化されます。要件定義書などのドキュメントとスケジュール情報が一体化して管理できるため、情報の分散を防ぎ、更新も非常に簡単です。

3. 「図」が「資産」になる:Gitによるバージョン管理

Mermaidで作成した図の本体は、ただの「テキストファイル」です。これは、Git(ギット) のようなバージョン管理システムと非常に相性が良いことを意味します。

Gitを使えば、「いつ、誰が、なぜこの業務フローを変更したのか」という履歴がすべて記録として残ります。これにより、

  • 変更の意図が明確になり、後から見返したときに混乱しない
  • 「やっぱり前のバージョンに戻したい」といった際も、ボタン一つで元に戻せる
  • 複数人での同時編集が容易になる

といったメリットが生まれます。これまで使い捨ての画像ファイルだった業務フロー図が、改善の歴史が刻まれた、組織にとって価値ある「資産」へと変わるのです。

Mermaidで始める、新しい業務プロセスの描き方

Mermaidは、単なる図解ツールではありません。それは、業務プロセスの可視化とコミュニケーションの方法を根本から変える、新しい「考え方」です。

  • シンプルさ:余計な装飾を排し、伝えるべき情報に集中する。
  • 軽量性と速さ:特別なソフトは不要。テキストとブラウザさえあれば、いつでもどこでもアイデアを形にできる。
  • 資産化:コード化された図は、バージョン管理を通じて組織の知的財産となる。

ドキュメント作成の負荷から解放されることで、私たちはもっと本質的な課題解決に時間を使えるようになります。

まずは、オンラインのMermaidエディタ(https://mermaid.live/ )などで、この記事のコードをコピー&ペーストして試してみてください。テキストが魔法のように図に変わる体験は、きっとあなたの仕事のやり方を変えるきっかけになるはずです。

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