「伝熱解析」とは?CAEで解き明かす熱の謎

この記事のポイント

伝熱解析は、CAEソフトウェアを使って熱の伝達現象をシミュレーションする技術です。
電子機器の発熱対策、自動車エンジンの冷却システム設計、建物の断熱性能向上など、熱に関する様々な問題を解決することができます。

目次

はじめに

皆さんは、熱がどのように移動するのか、どのように物体から放出されるのか、考えたことがありますか?
実は、熱の動きは私たちの身の回りの様々な現象に影響を与えています。
電子機器の発熱、自動車エンジンの冷却、建物の断熱など、熱に関する問題は私たちの生活に密接に関わっています。
そこで今回は、CAE(Computer-Aided Engineering)の一分野である伝熱解析について、初心者でも理解できるように解説します。
伝熱解析は、CAEソフトウェアを用いて熱の伝達現象をシミュレーションする技術です。
この記事では、伝熱解析の基礎知識、具体的な活用例をご紹介します。

伝熱解析の基礎知識

熱は、主に以下の3つの方法で伝達されます。

熱伝導

物体内部を伝わっていく熱の移動です。
例えば、鍋を火にかけることで、鍋の底から取手に熱が伝わります。

熱対流

流体(液体や気体)の移動によって熱が運ばれる現象です。
例えば、扇風機で風を送ると、肌が涼しく感じられます。
これは、風によって熱が体から奪われるためです。

熱放射

物体が電磁波を放出することで熱が伝わる現象です。
例えば、太陽の熱は、熱放射によって地球に伝わってきます。

伝熱解析の活用例

伝熱解析は、様々な分野で活用されています。以下に、代表的な例をご紹介します。

電子機器

スマートフォンやパソコンなどの電子機器は、発熱量が多いため、伝熱解析を用いて熱対策を行うことが重要です。
伝熱解析により、筐体の形状や素材を変更することで、発熱量を抑え、機器の信頼性を向上させることができます。

自動車

自動車エンジンは、高温になりやすい部品が多く、伝熱解析を用いて冷却システムを設計することが重要です。
伝熱解析により、冷却水の流量や冷却経路を最適化することで、エンジンの性能向上や燃費向上を実現することができます。

建築

建物における断熱性能の向上は、省エネ対策として重要です。
伝熱解析を用いて、建物の壁や屋根の素材や厚さを最適化することで、熱損失を減らし、快適な室内環境を実現することができます。

伝熱解析の手順

伝熱解析は、以下の手順で行われます。

  1. 問題の定義: 解析対象となる問題を明確に定義します。 例えば、「電子機器の筐体における熱分布を解析する」などです。
  2. モデルの作成: 解析対象となる物体の形状や材質を3D CADモデルで作成します。
  3. 境界条件の設定: 物体表面における温度や熱流束などの境界条件を設定します。
  4. 物理法則の適用: 熱伝導、熱対流、熱放射などの物理法則を適用します。
  5. 解析の実行: CAEソフトウェアを用いて解析を実行します。
  6. 結果の解析: 解析結果を可視化し、解析対象となる問題を分析します。

伝熱解析ツールの種類

伝熱解析ツールは、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

汎用CAEツール

熱解析以外にも、構造解析や流体解析など、様々な解析を行うことができるツールです。
Ansys、Abaqus、NASTRANなどが代表的な例です。

専用CAEツール

特定の分野に特化した解析を行うことができるツールです。
例えば、電子機器の熱解析に特化したツールや、建物の熱解析に特化したツールなどが存在します。

伝熱解析の注意点

伝熱解析を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

  • モデルの精度: モデルの精度が低いと、解析結果の精度も低くなります。
  • 境界条件の妥当性: 境界条件が妥当でない場合、解析結果も不正確になります。
  • 物理法則の適用: 適用する物理法則が正しくないと、解析結果も誤ってしまいます。

まとめ

伝熱解析は、CAEの一分野として、様々な分野で活用されている技術です。

熱の伝達メカニズムを理解し、CAEソフトウェアを適切に活用することで、熱に関する問題を解決することができます。

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